ささき心理・福祉相談室

看過できない

 大谷選手の活躍を味わうために、去年からNHKBSのワースポを毎日のように見るのだが、最近気になることがある。元メジャーリーガーが日替わりで解説をするのだが、大谷選手に厳しすぎることが多々あることだ。例えば今日は井口資仁さんが、「今日の大谷選手は不調」「好不調の波を小さくした方がいい」というようなこと言っていた。今日、3安打ですよ!昨日2本のホームランを打ったので、それと比較しての発言だが、3安打で不調はあまりにも的外れではないか。しかもホームランの翌日に「不調」というほどの大きな変化を見ること自体かなり違和感がある。
 1か月ぐらい前にはこの番組の企画で大谷選手に成績表(通知表)を解説陣がつける、というものがあったが、これもかなり違和感があった。そもそも評価基準が示されてないのでバラバラなのだが、5点中2.5とか3とか辛口な人が少なくなかった。福留さんはかなり厳しかったと記憶している。
 僕が抱く違和感は、言行不一致によるものである。自分ができないことを、自分の実績(成績)を置いておいて辛口に解説をしたり、さらには厳しく評価するのはとても納得がいかないし、正直気分が悪くなる。「あなたはできるのか?」と言いたくなる。誰の眼にも明らかだが、近年の大谷選手以上の成績を残している選手はいない。もちろん、その解説陣も全員残していない。正確に言えばかなり差がある。自分ができないことをアレコレ言うのはとても無責任であると感じる。
 もっともっと大谷選手に敬意を払い「私には到底できませんが、こういうやり方をするともっとよくなるかもしれない」など、言葉を磨く方法はいくらでもある。何も解説ができない、ということではない。経験者ならではの鋭い指摘は大変有意義だが、自分の身を知った上での発言をしてほしいということである。自分にできないことについては慎重に発言してほしい。
 唯一、川崎宗則さんの解説だけはこの辺がきちんとできていると感じる。
 言行不一致は他のことでも気になるたちである。自分を知っている人、身の程をわきまえている人は素敵だと思う。卑下するという意味ではなく、自分の得意・不得意、凸凹、特徴を知って、それと上手に付き合っていく、そんな生き方に魅力を感じる。

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