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当事者研究:パワハラ被害者として②「言ってほしい一言」

・前回と近い、または重なる部分もありますが、今日はパワハラ被害者として「言ってほしかった言葉」について書いてみます。
・個人的につながりのある、比較的関係の近い臨床心理士の何人かに個別にパワハラ被害のことを話した場面です。
・私は長年の夢であった被害者支援専属の仕事ができなくなった大きくて深い喪失感を埋めようとして、博士号を取るというかなり難しい目標を立てようとしていました。しかし、たくさん論文を書かねばならず、これまでほとんど書いてきていない過去を振り返るとかなり心許ない、自分ができるんだろうか、たぶん無理ではないか、という大きな大きな不安がありました。
・そこである博士号を持つ心理士に相談しました。しかし、その心理士は結局「あなたなら大丈夫」とは言ってくれませんでした。しかし、私はその一言が喉から手が出るほど言ってほしかったのです。
・また、幼少期からかなり長い付き合いのある友人にも相談しました。その友人は理系の博士号を持っていました。かなり粘って「取れるかな?」と尋ねましたが、結局「大丈夫、きっととれるよ」と言ってくれませんでした。この人なら言ってくれるかもと期待が大きかっただけに、ガックリきました。
・なんの根拠も、保証もいりません。決して結果が伴わなくても恨んだり、怒ったりは絶対にしません。ただ、明日から生きていく勇気を持てる、プラスしかない言葉なのです。これを他人という、自分ではない人が言うことの価値を心の底から感じました。
・この自分の経験から、心理士として生かしたいのは、「目の前の傷つき打ちのめされている人が、他の人から言ってもらいたい一言は何だろう」を常に考えたい、ということです。根拠よりを探すよりも、心から勇気づける気持ちを優先に考えていきたい、と思うのです。
・もちろん、すぐに、完璧に、実践するのは難しいでしょうが、それを探す姿勢を持ちたい、ということです。
・ちなみに、上の事例については、心優しい後輩が、言葉ではなかったですが、熱心に博士号を取るためにすべきことを丁寧に教えてくれ、言葉で言ってもらったのに近いくらい救われることがありました。この救われ体験も忘れずにいたいと思います。

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