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当事者研究:パワハラ被害者として①「支援者の不適切な言葉」

・今回からパワハラ被害者として、私が当事者として感じたことを書いていきたいと思います。私自身の整理の意味もありますが、同時に世の中の誰かの役に立てば幸いです。
・今振り返ると私はいくつかの場面で支援者的な人(病院の先生、友人の心理士、先輩・後輩の心理士)に頼りました。結果的に話してよかった場合とよくなかった場合がありました。精神的に大変弱くなっていたため、藁をもすがる思いで話したのですが、そのために支援者に対して大変評価が厳しくなってもいたと思います。それは、被害者一般に言えることでもあり、衝撃的な体験をした人は敏感になっていることを忘れないでいたいと思います。
・支援者の言葉で不適切だと感じたのは「(加害者の)その上司はマウントを取ろうとしたんですね」の一言です。なぜ不適切かというと、その言葉で終わってしまったからです。そのあとに「その上司はマウントを取ろうと必死だったから暴言を吐いたと思うが、どんな理由にせよ、その行為は許しがたい」や「あなたは何も悪くないと思う」と被害者側に立つ、被害者の味方である言葉が必ずいると思います。支援者のなすべきことの最優先事項がこれである、とも思います。
・状況を整理したりアセスメントするのは悪いことはありません。しかし、それだけで終わってしまう支援者が少なからずいました。これは支援者の有害な自己満足です。被害者である相談者は突き放された、とすら感じます。それだけで終わるならむしろ言わない方がずっとましです。
・状況を整理する言葉は、その後に「あなたは悪くない」「私はあなたの味方」という支援者の立場の表明がある場合には極めて有効です。つまり、必ずセットで行うべき、というのが被害者としての私が感じたことです。
・これは支援者側が盲点になりがちな点です。状況を整理し、適切な言葉で表現できると、そのことに安心しがちだからです。被害者にとって、それはあってもいいのですが、それよりもずっと味方を求めています。必要度で言うと1:100ぐらい違います。冷静に状況を見るだけの人は求めていません。味方であることの表明、これだけは初めて被害の話を聞いたときにしてほしいと思います。
(・ちなみに残念なことにごく少数、相談者の味方であることは中立性を保つためにできない、という人がいますが、これは明らかな間違いです。中立性の意味をよく勉強していない、または誤って覚えていることの表れです。別の機会に丁寧に説明しますが、支援者は支援者と名がついた瞬間から相談者の味方なのです。セラピストはクライエントの益になるために存在するのと全く同じです。)

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